トップメッセージ Top Message

お客様と従業員との幸せを追求し
1兆円企業達成を足掛かりに
さらなる飛躍を目指す

株式会社ビックカメラ
代表取締役社長

秋保 徹

従業員の幸せを起点とした
経営理念の実践

社長就任から4年目を迎えた今、私は経営トップとしての最大の責任は、ビックカメラグループで働く全ての従業員とそのご家族を幸せにすることだと改めて実感しています。

やる気を持ってモチベーション高く働ける環境、賃金がしっかりと得られること、休日など労働環境が充実していること、こうした環境が整うことが従業員の幸せにつながり、質の高い仕事ができるようになります。

当社は「お客様喜ばせ業」を企業理念として掲げています。その実現のためにはお客様の立場を起点に物事を考えて行動することが不可欠です。従業員が働きやすい環境で能力を発揮することで、お客様に喜んでいただける、より良い商品の提案やサービスを提供することができます。これが当社の事業における中核となる考え方です。

それが結果的に世の中のため、お客様のためになり、業績向上につながっていきます。お客様にしっかりとした喜びを提供し続ける状況を作っていけば、その成果として従業員とそのご家族も幸せになるのです。

こうした双方向の好循環を生み出すことこそが私の役割であり、そこに導いていくことが経営トップとしての使命だと考えています。

中期経営計画初年度の成果と
2026年8月期に向けた決意

2025年8月期は、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益の全てにおいて過去最高を更新することができました。私たちはさらなる高みを目指しており、この結果に対して決して満足してはいませんが、一方で中期経営計画の初年度の数字をクリアしたことには一定の評価をしても良いのではと考えています。

この成果には3つの要因があります。第一に、グループ会社のラネットを中心とした携帯電話販売代理店事業の規模拡大です。M&Aにより一次代理店としての規模が拡大したことと、旺盛な通信需要が重なり、ビックカメラ、コジマという二次代理店との連携も含めて、グループ全体で市場の需要を的確に捉えることができました。第二に、本業の小売事業であるビックカメラ、コジマが堅調に業績を確保したことです。インバウンド需要については、上期は好調でしたが、下期に国際情勢の影響を受けて当初計画には届かなかったものの、前年からは成長させることができました。第三が、販管費のコントロールです。人件費は賃上げにより上昇しましたが、その他の経費について、従来以上に精度の高いコントロールができるようになりました。

2026年8月期は、グループ連結で売上高1兆円を目指します。小売業として1兆円企業となることは、市場へのインパクトがあるものと考えておりますし、また従業員のモチベーションの向上にも一定程度寄与するのではと期待しております。しかし、これはゴールではなくあくまで一つの通過点にすぎません。将来の次なる成長ステージに入るための重要なターニングポイントであると考えているので、そのためにも、何としても達成しなければなりません。

EC事業とインバウンドを軸に
グループの総合力を活かした成長戦略

1兆円達成に向けては、小売事業を中心に業績拡大を図っていきます。ビックカメラは大都市圏のターミナル駅前に店舗を構え、カメラ・家電製品を中核に、お酒、おもちゃ、日用品・薬など多くの非家電商品も扱う独自のビジネスモデルを展開していることが特徴です。多種多様な商品ジャンルを扱っているため、毎年何らかの商品の特需が発生し、一方で需要が減少した商品分野があっても、全体でカバーしやすいという強みがあります。この強みを活かし、お客様のニーズを見極めながら需要創出を図ることが、成長の鍵となります。

EC事業については、送料無料施策の効果もあり、前期は新規顧客が54%増加するなど、想定を上回る成長を遂げました。顧客基盤の拡大は今後の成長に大きく寄与するため、さらに積極的な事業展開を目指します。

当社がEC事業において重視しているのは、「店」としての本質を忘れないことです。Web上の販売システムを構築する際、IT部門では最新技術や凝ったシステムを導入しがちですが、実店舗と同様にお客様の目線で買いやすい売場づくりを優先して追求しています。2025年8月のシステム刷新により、EC事業部のメンバーが、自らレイアウトや使いやすさ(UI)・利用者が感じる使い心地(UX)を臨機応変に改善できるようになりました。EC事業における新規のお客様のうち約3割が翌年も継続してご利用くださっています。現在の課題は、より多くの割合のお客様にリピーターになっていただくことです。UI・UXのさらなる向上に加え、品揃えの拡充、自社便の配送エリア拡大、配送の最適化など、お客様が「ビックカメラで買って良かった」と感じられる取り組みを、システム刷新を機に加速度的に進めていきます。

インバウンドについては、より幅広い国々のお客様に対応する戦略に注力します。2024年頃までは、中国のお客様が4割、台湾と合わせると6割を占めていました。しかし、池袋、新宿、渋谷、有楽町、大阪なんばなど当社の主要店舗には、世界情勢の変化もあり、中国だけでなく欧米、中東、中南米など多様な国々のお客様が来店されています。

こうした現実を踏まえ、特定の国に偏るのではなく、「全世界の人にとって楽しい店」を目指すことにしました。様々な国のお客様のニーズに応える品揃えを強化することで、さらなる成長機会を捉えていきます。

また、国内の環境変化にも機敏に対応していきます。法改正や政策変更など、様々な変化が需要創出のビジネスチャンスとなります。例えば、2025年8月に東京都が発表した65歳以上向けの省エネ家電購入補助金制度では、発表からわずか1週間で対応することができました。こうした変化を予兆してスピード感を持って展開していくことで、着実に成長を実現します。

今後、池袋地区においては我々を取り囲む環境が大きく変わっていくことが予想されます。半世紀近くこの地を拠点としてきた当社としては非常に危機感を持つ一方で、従業員の意識変革を促すきっかけになったと前向きにも捉えています。2025年11月の店舗リニューアルを皮切りに、差別化に向けたマインドセットが加速し、それを形にしようという姿勢や意欲が確実に生まれています。

池袋の店舗で目指しているのは、当社ならではの提案力、見せ方、売場づくりによる独自性を発揮することです。競合とは全く異なる価値を提供する存在として、家電量販店という枠を超えた新しいビックカメラへと進化します。
家電が目当てでない方も思わず入りたくなる魅力的な店づくりに挑戦します。既存のお客様を大切にしながら、新しいお客様にも来ていただける店として、日々アップデートを続けることで、池袋で確固たる地位を築いていきます。

グループ経営においては、各社の強みを活かした戦略をさらに推進します。ソフマップのリユース事業は、デジタル家電の買い取りから改修・整備、販売までを内製化できる強みを持っており、今後の展開に向けて一定の成果を上げることができました。コジマについては、駅前立地のビックカメラ店舗と郊外型のコジマ店舗を相互に活用するドミナント戦略を展開し、出店可能地域の拡大を図ります。各社の役割分担を明確にし、事業の連携を深めることでグループ全体の総合力を高めていく方針です。

「人の力」を最大限に
引き出す組織づくり

企業の成長の源泉は「人の力」です。私がこのことを強調する理由は2つあります。

一つは、人的資本経営として、人に対する投資が企業の成長をもたらすという考え方です。もう一つは、ビックカメラの従業員には「何か特別なエネルギー」が宿っていると肌で感じるからです。他の企業とは異なるカルチャーから生まれる大きなポテンシャルがあると確信しています。

「お客様喜ばせ業」という創業来より伝わる言葉を、私は社長就任以来積極的に使っています。お客様に喜んでいただくことに目的意識を持った時、一人ひとりが発揮するパワーは非常に強力です。当社の従業員は、かつて人海戦術で業績を伸ばしていた時代に、手づくりでひたむきに仕事に取り組んでいたDNAを、今でも受け継いでいます。チームで一つの目標に向かう時、熱い心で取り組んでくれます。このアナログ的な人間の感情を大切にした商売が、逆に現代において人の心を揺さぶるのではないかと考えており、こうした人間の本質に訴えかける商売を大切にしていきたいと思っています。

人的資本経営の推進において、私は「個人商店化経営」を最重視しています。現代は変化のスピードが速く、お客様のニーズも多様化し、かつ絶えず変化し続けています。このような環境下では、本部主導の画一的な店づくりでは通用しません。現場の一人ひとりが主体的に判断し、お客様のニーズに機敏に対応していくことが不可欠です。社長就任時から3年間、この考え方を浸透させてきた結果、ようやくスタートラインに立つことができました。ここからの加速に大きな期待を持っています。企業風土を変えることは容易ではありませんが、マインドセットは着実に浸透し、現場での具体的な変化も生まれています。

個人商店化経営の実現には、権限委譲とモニタリングの仕組みが重要です。現場のメンバーが商品の品揃えや売場づくりについて主体的に判断できる仕組みは整いつつあり、今後さらに加速させていきます。

20年前、当社は「日本一活気がある企業」に選ばれました。活気とは、会社の熱が世の中に伝わることです。そのためには、成長と投資を通じた進化、店舗を情報発信基地として話題を作ること、そして従業員一人ひとりがエネルギッシュに仕事に取り組むことが重要です。この3つを実現することで、再び日本一活気がある企業を目指します。

中期経営計画の初年度を終えて、従業員の活力が大きく変わってきたことを実感しています。この3年間で企業風土改革とマインドセットの基盤を構築できたことで、2026年からは、経営姿勢を守勢から攻勢に転じることができます。

この機運を最大限に活かして、成長に向けた投資をアグレッシブに進めます。中期経営計画の達成はもちろんのこと、さらなるその先を見据えて、グループ全体の企業価値を高めていきます。株主の皆様、お客様、従業員、そして社会全体に対する責任を果たしながら、持続的な成長を実現していく決意です。

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